なぜ自動巻き式3針では不可かと言うと(もっとも、当時はまだ自動巻き式より手巻き式の方が主流でしたが)、無重力空間では腕の運動量が減ったり重力の助けがなくなったりして自動巻きのローターが回りづらいため。
また、クロノグラフは、宇宙船の電気系統が壊れるなどして、時間計測が困難になった場合に必要な機能となるためです(事実、後述するある事件でこの機能が活躍することとなる)。
そんな宇宙飛行士のための腕時計を求めるNASAが行ったテストは、70℃で48時間(さらに93℃で30分)の高温、-18℃を4時間までの低温での検査をはじめ、高熱の蒸気を当てられたり、40Gの負荷をかけられたり、急激な温度変化や気圧変化にさらしたりといった、非常に過酷なテストでした。
オメガの他にCal.30chを搭載したロンジン、バルジュー72を搭載したロレックスなど、10社ほどの時計が集められたそうですが、このNASAのテストを経て、最後までクロノグラフ機能が稼働していたのは、オメガのスピードマスターだけだったと言います。
ちなみにそれらの時計は一説によれば、特注品ではなく普通に出荷された市販品だったそうです。
オメガミュージアム館長が後日談として「我々には使用目的が伝えられないままNASAに納入して、その後当時の雑誌での発表で真相を知ることになった」ということを語っています。
街の時計屋にならんでいた市販品を買ってきた、などという説もありますが、いずれにしても「特注品ではなく、通常の市販品が宇宙へ行けるスペックを持っている」という事実がスピードマスターへの信頼性をより高める結果となりました。
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https://www.rasupakopi.com/1965年にオメガ スピードマスターは第4世代に突入しています。
ケースが左右非対称となり3時側にリューズガードが追加され、さらに衝撃に対して強固になりました。
この時点でほぼ現行モデルの土台が完成され、以降のスピードマスター プロフェッショナルと呼ばれる基幹モデルに踏襲されていきました。
そしてこの年、NASAの宇宙飛行士用標準装備としてオメガ スピードマスターが正式に採用されたことが発表されました。
翌年1966年から正式にオメガへの発注が行われました。
以降の生産分から文字盤にダイヤルに「PROFESSIONAL」の文字を表記することなります。
そんな流れから、4thモデルには「PROFESSIONAL」表記なしのものと、表記有りのものの2種類存在します。
ちなみに「1969年、人類が初めて月面に降り立った時に装着されていた時計は3rdモデルか4thモデルか(たまに5thモデルという人もいますが)」という論争がありますが、オメガが公式に4thモデルが「月面で着用された最初の時計」と謳っています。
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