「テンポ・ルバート」で驚くべき点は多々あり、メトロノーム作動中でもベゼルを回せばBPM値を自由に変更できること、ゼンマイの巻き上げをベゼルの右回転で行うことなど、メカニズムの革新性が注目される。このベゼルに噛み合う巻き上げ機構の歯車と調速機構の歯車には、とくにトルクが加わることから一般的なルビーではなく、極小のボールベアリング(ミネベアミツミ製)を使用している。これは、デザイン面で大きな影響を与えた浅岡さんによる発明を応用したものだ。さらにはドラムを叩いた際の12時方向からの衝撃を吸収するメカニズムとして、キャリッジを動かしているBPM調整用のアームのバネの代わりにギターの弦を用いているが、片山氏がムーブメントモジュールにギターの弦を採用したことにヒントを得たものである。
いずれにせよ、岡田さんのオリジナリティをもとに、日本を代表する時計アーティストの教えを乞うて実現した「テンポ・ルバート」は市販されないプロトタイプだが、計2本が制作された。2本目に関しては、制作期間わずか1か月で、さらなる構造のブラッシュアップ(例えば、スリーブの両側の仕組みを変更して剛性を高めるなど)を実施。外装の表面加工もエッジも、ムーブメントの面取りについてもさらに丁寧に仕上げられて質感が高まり、完成度が上がっている。
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https://supakopi007.com/「テンポ・ルバートはあくまでもメトロノームが主体のため、このデザインは崩したくない。ですから時刻表示はケース側面に表現できないかと、日々考えを巡らせています。また、ジャズに限らずドラマーは暗がりでのプレイが多いですから、メトロノーム針に蓄光加工をしたいです。さらには、製品化するテンポ・ルバート以外の構想もすでに持っています。もちろん自分ひとりでは難しいですが、春からお世話になる東京時計精密の皆さんの助けをお借りしながら実現していきたいです」
岡田さんのビジョン、ポテンシャル、そしてパッションに圧倒され、間も無く展開されることとなる「GAKU」に国産時計の将来を見た。そして同時に、「HAJIME ASAOKA Tokyo Japan」「KURONO TOKYO」「ŌTSUKA LŌTEC」「TAKANO」を製造する東京時計精密が“ゆりかご”となり、「GAKU」を新たに加えたこれらのブランドは世界において、さらに存在感を高めることとなりそうだ。
歯車やゼンマイ、テンプといった機械式時計に用いる基本構造を応用した、世界初の機械式腕時計型メトロノーム。8時位置のプッシュボタンでメトロノームのスタート&ストップを、回転ベゼルの右回転でBPMを高くすると同時にゼンマイの巻き上げを、左回転でBPMを低く調整できる。アンクルの左右の振り角が同じになるよう、ガンギ歯とアンクルのツメを設計したメトロノーム専用脱進機を開発し、搭載する。
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